「企業の公式VTuber」や「地域VTuber」の活躍を紹介
VTuberの中には、所属する企業の広報活動を目的とした「企業の公式VTuber」や地域の広報を目的とした「地域VTuber」といったVTuberも居ます。
地域VTuberは自治体や観光協会などの公認を得ていない非公認も含めると、いまや数え切れないほどになっているでしょう。
この記事では、企業の公式VTuberや地域VTuberの中から代表的なVTuberをいくつかピックアップして紹介していきます。
目次
燦鳥ノム(さんとりのむ)
誰もが知っている大手企業、サントリーの公式VTuberです。
2018年の7月25日にチャンネルを開設、8月17日にデビューしました。企業に所属するVTuberとしてはかなり早い段階から活躍してきた企業公式VTuberと言えるのではないでしょうか。
公式のキャラクター設定は、「鳥と花の飾り付きの帽子と傘がトレードマークの好奇心旺盛なお嬢様。性格はほんのりと天然。特技は歌うことと舞うこと。好きなものは飲み物で、様々な飲み物に興味がある。苦手なものは直射日光」といった感じです。
サントリー所属ということとノムという名前であること、好きなものは飲みものという設定からサントリー商品のPRをしているだけのVTuberを想像するかもしれませんが、実際には雑談配信やゲームを実況しながら遊ぶ配信が多く、YouTuberのようにドッキリ企画の配信なども行っています。
また、歌や踊りが特技で流行りの曲のカバーやオリジナル楽曲も多く公開されていて、自社の広報に限らず幅広く活躍していると言える企業の公式VTuberです。
2021年の10月26日に年内で定期的な動画の更新を停止することが発表されましたが、活動自体の休止ではなく、あくまで定期更新を停止するという発表でした。動画内でも前向きな理由でのことと言っていて、その後も動画が配信されていたりオリジナルソングのミュージックビデオが公開されていたりと不定期ながらVTuberとしての活躍は健在です。
ウェザーロイドairi(ウェザーロイドあいり)
全国の気象情報を扱うウェザーニューズの公式VTuberです。
公式のキャラクター設定に「得意なジャンルは高層天気図、好きな空は飛行機雲のできた青空、推奨気圧は1030~1052hPa」とあるほど、気象情報に特化したキャラクター設定となっています。また、VTuberにしては珍しく声優が公開されている珍しい例です。
YouTubeのチャンネルを開設しVTuberとしてデビューしたのは2018年ですが、企画発表自体は2011年、キャラクターの初のお披露目は2012年とだいぶ早く、実際に動いている姿もイベントなどでお披露目されていました。たまたま後からブームが来たVTuberというジャンルに自身がマッチしていたのでVTuberとして飛び込んだかたちと言えるかもしれません。
そのため、VTuberとしてデビューする前の活動も含めるとかなりの年季があったので、デビュー直後のころからコラボ相手のVTuberに先輩扱いされるという珍事も起こっていました。
また、放送中にフリーズするなどトラブルも少なくなったことよりポンコツなイメージがつき、ポン子という愛称で呼ばれることもあり、公式にも採用されました。
正式にVTuberとしてデビューした際には自ら「デビュー7年目の新人VTuber」とネタにしていたことも印象的です。
配信内容も気象情報だけでなく、ゲームや雑談、季節や季節イベントに因んだ企画など幅広いジャンルの配信をしています。
根羽清ココロ(ねばせいこころ)
有名な製薬会社、ロート製薬の公式VTuberです。
公式のキャラクター設定は「ロート製薬でスキンケアを研究中しながら広報活動、副業はYouTuber、ドライアイに乾燥肌」と自社製品に掛けた設定が特徴となっています。
2018年にデビューし、企業所属の公式VTuberらしく自社製品の紹介動画やカバー曲を歌っている動画などを投稿しながら、ライブ配信では雑談やゲーム配信を定期的に行っています。
企業の公式VTuberでありながら「【ご報告】いつも応援してくれている皆様へ。【卒業】」というVTuber業界では引退を意味することが多い「卒業」を匂わせるタイトルで動画を投稿し、卒業式を模した寸劇を行いながら途中で「花粉症の症状からの卒業」と宣言し自社製品の宣伝をしていくという配信をしたこともありました。企業の公式VTuberとしてはかなり攻めた配信をするVTuberのひとりと言えます。
茨ひより(いばらひより)
茨城県公式の地域VTuberです。
デビューは2018年で、全国で初の自治体公認VTuberとして活動を開始しました。
茨城県の入庁3年目の女性職員が、同県のインターネットテレビ「いばキラTV」のアナウンサーとして抜擢されたという設定になっています。
見た目は「ネモフィラの青をイメージした上着、干し芋の黄色をイメージしたスカート、偕楽園の梅の花をイメージした靴、アンコウの髪飾り」と茨城県の名産をキャラクターデザインに盛り込んでいて、デザインだけでも茨城の広報としての効果があるのではないでしょうか。
VTuberとしては珍しく自分でチャンネルを持たず、いばキラTV内で活動するかたちをとっています。
投稿している動画の内容は、県内の名産や名所を紹介する企画や、カバー曲を歌っている動画のほかゲーム配信も行っていて、広報だけで視聴者を飽きさせないように工夫がされています。
一般的なVTuberの場合は所属している企業や事務所とVTuber自身で判断をしますが、茨ひよりさんの場合は茨城県の職員という扱いになっているので、なんとVTuber活動を継続するかどうかが「県議会」の決議の結果で決まります。
VTuberの活動に県議会まで絡んでくるのはなかなか珍しいケースではないでしょうか。
宣伝効果の方も、従来の広告費に換算すると2億4000万円分の効果があったとの試算結果が出ていて、地域の広報をするVTuberとしてはかなりの成果を挙げていると言えるでしょう。
他の自治体でもVTuberを起用するところが出てきているので、自治体所属のVTuberはこれからがとても楽しみなジャンルです。
禰好亭めてお(でぃすこていめてお)
2019年にデビューした岐阜の地域VTuberです。
「飲み屋でたまたま隣にいた人にスカウトされてデビュー」という変わった経緯から活動を開始していて、声質や語り口調も一般的なVTuberとは一味違ったものとなっています。
キャラクター設定も曖昧なものが多くミステリアスな雰囲気を出している割には、いわゆる「中の人」の情報は多く出ているなど、かなり変わったVTuberと言えるでしょう。
自治体や観光協会などの公認はとれていないものの、TwitterやYouTube内で岐阜県の魅力を伝えつつ、日本各地の地域VTuberを紹介したり討論したりする企画を配信しています。
また、「全国47都道府県の魅力をVTuberと一緒に大討論生配信!第1回地域チューバー大討論会!【VTuber】都道府県魅力度ランキング」という地域VTuberが総勢25人集まって討論をする企画ではMC兼岐阜代表として企画を大いに盛り上げました。
他にも公認非公認問わず地域VTuberを集めた企画をいくつも行っているので、非公認とはいえ地域VTuberを語る上では外せないVTuberではないでしょうか。
まとめ
企業の公式VTuberや地域VTuberを紹介してきましたが、この記事では紹介しきれなかったVTuberの方々も数多くいますし、まだまだ新しく増え続けています。
現在活躍しているVTuberが広報としての実績を残し続けていけば、さらに増えていくでしょう。
いままでの広報活動ではアプローチできなかった層へ広報活動をする手段として、VTuberを起用することが一般的になっていく日も遠くはないのかもしれません。