2022年のVTuber動向

2022年のVTuber業界も様々な出来事がありました。
この記事では、2022年のVTuber動向と題して、具体的にどんなことがあったのかを紹介していきたいと思います。
もちろん2022年に起こったことをすべて書くことは流石に不可能なので、いくつか大きなものをピックアップする形で紹介させていただきます。

目次

キズナアイさんの無期限休止発表

VTuberを語る上では外せない黎明期のVTuber業界の立役者、キズナアイさんが無期限休止に入ったのが2022年です。
告知自体は2021年の12月ですが、2022年の2月26日に行われた「Kizuna AI The Last Live “hello,world 2022”」まででキズナアイさんが無期限の活動休止となりました。
しかし、公式サイトの告知文によれば「キズナアイがより成長していくことを目標としたアップデート」をするためとなっていて、活動自体の終了ではありません。

 

8月に「SNSアカウントの運用再開」、11月には公式サイトより「アニメプロジェクト『絆のアリル』が2023年に放送開始」と告知されていました。
さらに12月1日には、これまでどおりキズナアイがVTuberとして動くかたちで6周年記念の動画がアップロードされていて、活動は休止していたもののキズナアイプロジェクトがきちんと進んでいたことがうかがえる2022年でした。

壱百満天原 サロメさんのデビュー

今年一番伸びたVTuberを挙げるとするなら、壱百満天原サロメさんを選ぶ人が多いのではないでしょうか。デビューしたのは2022年の5月21日ですが、すでに登録者150万人を超えています。
お嬢様に憧れている一般人女性が、インターネットのスラングやオタクとしての知識を活かしつつ間違ったお嬢様言葉を連発するという強烈なキャラクター性と、「自分のことを知ってほしい」という理由から初配信で胃カメラ映像を公開するというインパクトのある企画を行ったことで、一躍有名になりました。

 

その勢いはとどまるところを知らず、初配信から14日でチャンネル登録者数100万人を超え、これまでのVTuberの最速記録を大きく塗り替えました。(100万人を達成するだけでもにじさんじ内では当時3人目であり、VTuber全体で見ても達成者は多くありません)
サロメさんの実力ももちろんありますが、芸人気質のVTuberを多くかかえているにじさんじのファンに個性の強いキャラクター性を受け入れる準備が出来ていたことと、本来は数人同時にデビューしていたにじさんじが単独でデビューをさせて注目を集めたことも追い風だったと言えます。

 

これまでVTuber事務所としてVTuberを運用してきたノウハウを全て注ぎ込み、にじさんじのファンたちが求めているものを満を持して出してきた結果が、壱百満天原サロメさんのVTuberの登録者100万人最速記録更新だったのではないでしょうか。

潤羽るしあさんの契約解除

2021年にはスーパーチャット(YouTube上での投げ銭機能)の額で世界1位を達成した人気VTuber、潤羽るしあさんの契約解除が発表されたのも2022年の2月です。
潤羽るしあさんの配信中にある歌い手の方からのメッセージが画面に写ってしまったことが発端となり、そこから同棲疑惑が出て騒動となりました。
その過程で、会社側から第三者への事実と異なる情報の流布や業務上の情報の流出がないか調査されることとなり、契約違反や虚偽の申告があったということで、正式に契約解除が発表されました。

 

その後も騒動は中々収まらず、プレスリリースに誤りがあるのではないかとの声も上がりましたが、6月にホロライブの運営が「リリースに間違いは無く、弊社が誤りを認めた事実はございません」と正式に否定しました。
世界一にもなったVTuberがいきなりの契約解除による引退ということで、この件は同じホロライブ事務所に所属するVTuberだけでなく、VTuber業界全体にも大きな影響があったと言えるでしょう。

ぶいすぽっ!の躍進

2022年に伸びたVTuberグループといえば「ぶいすぽっ!」ではないでしょうか。
「ゲームに本気で取り組むメンバーが集まってeSports の良さを広げていく、次世代 Virtual eSports プロジェクト」と公式が銘打っている通り、対戦型のゲームが得意なVTuberが集まっているVTuberグループです。

 

2018年から活動はしていましたが、徐々に所属VTuberを増やしながら活動を続け、ついに2022年に公式が「グループ内のチャンネル登録者総数が300万人を超えた」と発表し、774inc.を超えて3位になりました。
近年のesportsに対する注目や、2021年から2022年前半にかけてのApex Legendsの流行が追い風になったのではないでしょうか。その他の最新のFPSゲームタイトルももちろん配信しています。

 

他の大手VTuber事務所に所属するVTuberも多くApex Legendsの配信をしていましたが、ゲームの実力も重視しているぶいすぽっ!の配信とは観ているファン層も少し違っていたため差別化が出来たのかもしれません。
Apex Legendsは2022年後半よりプレイ人口が下火になってきてしまっているので、2023年以降はOverwatch2など他のFPSゲームを主力にしていくのか、これからの動向が気になるところです。

おめがシスターズが部位チューバーに

2018年から活動し続けチャンネル登録者30万人を超えている無所属のVTuber、おめがシスターズのおめがレイさんとおめがリオさんがいわゆる「部位チューバー」になったのも2022年です。
これまでのVTuberとは違い、顔以外はすべて実写映像のまま顔だけを従来のVTuberにするという技術で作られた動画を投稿し、話題になりました。

 

基本的には実写動画と同じように撮影できるため、これまでのVTuberでは難しかった手元を映す配信なども可能になり、YouTuberのような企画や案件配信がやりやすくなる点がメリットと言えるでしょう。
VTuberに3Dモデルがあっても、実在する何かを映す場合には実写で撮影して合成するか、対象物の3Dモデルを作って一緒に表示するのが主流だったことを考えると、出来ることの幅が大きく広がりました。

 

しかし、VTuberのファンの中には二次元のようなキャラクター性を重視する方も少なくないため、賛否は両論でした。
部位チューバーという新たなジャンルがどのように発展していくのか非常に楽しみです。

2022年の伸びたジャンル・伸び悩んだジャンル

2022年に伸びたジャンルとして、定番のゲーム配信ではやはりスプラトゥーン3とポケットモンスタースカーレット・バイオレットあたりでしょうか。ですが、このゲームは多くのVTuberがやっているため配信の被りも多く、ゲームの知名度で新規視聴者を獲得しにくいことからチャンネル登録者数がまだ多くないVTuberは避ける傾向もありました。
また、Among usなどの人狼系ゲームやパーティゲーム系は大人数コラボがしやすいためまだまだ配信でプレイされています。あとは新作ホーラーゲームも根強い人気があります。

 

音楽関係のジャンルはいつも通り好調です。
また、2021年から始まったYouTubeのショート動画では、あるある系のネタが人気となり数百万再生を叩き出したものも多くありました。
一方で伸び悩んだジャンルですが、ゲーム配信ではプレイ人口が減ってきている影響を受けたApex Legendsあたりでしょうか。また、アナログゲームであるTRPGなども一時期ほどの勢いはなくなりました。

まとめ

2022年のVTuber動向の中から大きなものをいくつかを紹介してきました。
黎明期からVTuber業界を支えてきた方々が休止や引退をし、去年の人気VTuberが契約解除で引退した代わりに、これまであまり目立っていなかったグループが台頭してきて順位を塗り替えた激動の一年でした。

 

ですが、顔だけVTuberにするといういわゆる部位チューバーという新しい試みが生まれたのも2022年です。
これまでのVTuber活動の仕方を続けるだけでは、生き残れない時代が来ているのかも知れません。
来年からのVTuberがどう工夫して活躍していくか、動向が楽しみです。

関連記事一覧