ChatGPT搭載の育成できるAI Vtuber『ペロリ』がデビュー!
ChatGPTのAPIを利用した業界初の育成型AI Vtuber『瑛皧ペロリ(えいあいぺろり)』が2023年の3月6日に動画でデビューし、3月15日に初のライブ配信を行いました。
この記事では、育成型AI VTuberの『瑛皧ペロリ』の概要と特徴、使われているChatGPTについて、『瑛皧ペロリ』のこれからの予定、初配信の様子などについて紹介していきたいと思います。
目次
AI Vtuber『ペロリ』のデビューの概要
業界初の育成型AI Vtuber『瑛皧ペロリ(えいあいぺろり)』が2023年の3月にリリースされました。
運用しているのはアニメーション動画制作サービスを展開するGivee株式会社です。
YouTubeでの配信だけでなく、LINEでのやりとりも可能となっており、利用者のコメントやメッセージを学習していく仕組みになっています。
背景として、大規模言語モデルの認知度が上がってChatGPTを活用したサービスが増えているのにもかかわらず、AIには感情表現が不足しているという指摘がありました。
その弱点を克服するために、アニメーション制作やIP制作に強みを持つGivee株式会社が「エンタメで愛着や親密さを抱けるAIを創造すること」を目標に開発したのがこのAI VTuberです。(IPは「知的財産」のことですが、この場合はざっくりいうと「キャラクター(VTuber)の権利」といった意味合い)
現在は瑛皧ペロリとしてYouTube上で配信をしています。
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@aivtuber-perori
ChatGPTとは
Chat GPTとは、OpenAIがリリースしたAIのチャットボットで、大規模な自然言語処理モデルの1つです。日本語にも対応しています。
数億から数十億の単語を記憶しており、文章の生成や質問への応答、文章の意味理解などができると言われていることが特徴です。
これまでのAIに比べて人間が自然と感じる回答ができることが特徴ですが、稀に支離滅裂な文章になることもあります。
ただし、2023年の3月14日に発表された最新のGPT-4では回答の正確性や入力の自由度なども大幅に改善されています。
育成型AI Vtuber『ペロリ』の特徴
ChatGPTと呼ばれる対話型のAIを搭載しており、視聴者のコメントやLINEでのメッセージの内容を学習しながら会話をしていきます。そのため、配信を重ねるごとにより精度の高い会話になっていくと予測されています。
また、開発会社のIPコンテンツ制作のノウハウを活かし、「ペロリ特有の言葉遣い」を搭載しているという点が大きな特徴でしょう。
すでにChatGPTと連携しているVTuberは他にも出てきていますが、同じAIを使っているため言動が似通ったものになってしまう可能性があります。ペロリの場合は、「ペロリ特有の言葉遣い」を採用することによりキャラクターに独自性を持たせていると発表されています。AIでない大手のVTuberも独自の語尾を付けるなどして差別化している方も多いため、キャラクターコンテンツとして育てていくために有効な手段ではないでしょうか。
また、LINEで直接やりとりをすることができるので、ChatGPTの機能を活かして雑談をしたり簡単な調べ物をさせたりすることが可能です。
AIVTuberペロリのこれからの展望
Givee株式会社から今後の展開の予定が3つ挙げられています。
「会話」だけでなく「見た目」も育成
視聴者によって育まれた人格に合わせてビジュアルを成長させていくとしています。
また、AIでないVTuberのように季節やリクエストに合わせた衣装の搭載も予定されており、会話だけでなく見た目も育成できるVTuberとして運用していく予定と発表されています。
現在一線級で活躍している大手事務所所属のAIでないVTuberも、視聴者とのやり取りの中でどのような立ち回りが好まれたか把握したり、好評だったネタを持ちネタにしたりしてキャラクター性を育てているので、VTuberとして自然な姿と言えるかもしれません。(大手VTuberの中にはデビュー時のプロフィールとは全く違った性格になっているVTuberも多くいます)
企業とのコラボレーションも積極的に
プレスリリースによると「様々な業種の企業をご支援するため、『ペロリ』を起点とした協業を積極的に実施していく予定です。企業様の強みを生かしたコラボレーションを行うことで社会課題を解決していきます」となっています。
元々企画やマーケティングが得意で、IPビジネスにも知見のある会社が運営しているVTuberですので、企業とのコラボにも期待できることでしょう。
『ペロリ』の技術を活かしたAI Vtuberの受託開発
プレスリリースによると「『ペロリ』を起点とした協業だけでなく、その技術を活かしたAI Vtuberの受託開発も可能です。
自社サービスのキャラクターの企画から開発まで全て承っております」となっています。
瑛皧ペロリを育成できるAI VTuberとして運用しつつ広告塔とし、他社のAI VTuberの開発もしていく予定と読み取れます。
Chat GPT4に対応
前述の3つの展望とは別になりますが、最後がGPT-4への対応です。
ペロリのデビューとほぼ同時期にChat GPTより性能の良いChatGPTの最新版が登場しました。AI VTuberのペロリもGPT-4に対応する予定とアナウンスされています。
GPT-4は3.X系をベースにしたChatGPTと違い無料で提供されていませんが、従来のChat GPTに比べて大幅に性能があがっているため、対応すればより自然な受け答えが可能になるでしょう。
初配信の様子
初配信は2023年の3月15日に行われました。その様子はこちら。
まだあまり認知度がなかったこととAIで動くVTuberはすでにいたことからあまり視聴者は集まりませんでしたが、視聴者からのコメントに答える形のやりとりで見事な受け答えをみせてくれています。
特にコメント内の単語の読み間違いを指摘された際には、まず間違ったことに謝罪をしてから正しい読み方を理解したところを見せ、最後に教えてくれたことに感謝するという非常に綺麗な受け答えをしています。
3月22日に行われたライブ配信では、質問だけでなく視聴者からのクイズも募集して回答しています。
瞬きは実装しているもののまだ口が動いていないところが気になる点ですが、キャラクターコンテンツとして運用していくのであれば口パクと表情の変化をこれから実装していくものと思われます。
他のAI VTuberとの差別化について
AIのVTuberはすでに何人か登場していますし、Chat GPTと配信ツールを連携させてAI VTuberとして配信した方も個人で既にいます。
その先行のAI VTuberとの差別化要素として、プレスリリースに書かれていた「特有の話し方をマスター」という点でキャラクター性を出していく方向で運用していくと思われます。また、視聴者との会話の中で成長した擬似的な性格に合わせて外見も成長させていく予定になっているため、その点でも差別化されるのではないでしょうか。
現時点ではあまりまだ差別化はできていないかもしれませんが、育成できるAI VTuberと銘打っている通り、視聴者とのやりとりを通じてこれから差別化するための要素が増えていくと思われます。
まとめ
育成型AI VTuberの『瑛皧ペロリ』の概要と特徴、使われているChatGPTについて、『瑛皧ペロリ』のこれからの予定、初配信の様子について紹介してきました。
現段階では表情の変化もなく口の動きもない状態ですが、育成型AI VTuberと名乗っている通りこれから育っていくことと思います。
会話を通して受け答えが成長していくAI VTuberは他にもいますが、それに合わせて外見も成長していくVTuberはおそらくまだほとんどいないはずですので、これから先どう成長していくのかが楽しみです。
AIでないVTuberでも、視聴者とのやり取りの中でキャラクターを確立していった方も多く、中には初期のプロフィールとは全くかけ離れたキャラクターで配信をしている方もいます。
『瑛皧ペロリ』さんは、配信者と視聴者が一体になって育っていくこれまでのVTuber文化をしっかり踏襲しているAI VTuberと言えるのかもしれません。